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◆◆◆◆
大柄で体重もあるのに、喜多見は音もなく裏庭に飛び降りると、こちらに目配せしてから建物の外壁に沿って移動した。
そして裏口がある方向へ進み、右に折れて見えなくなった。
白石が無言で窓を閉める。
「………大丈夫かな」
泉は思わず呟いた。
「信じるしかないだろ」
白石は小さく呟くと、廊下を戻り始めた。
「…………」
無言でその後ろ姿を見ながら続く。
泉ほどではないが、長身の辻やがたいのいい喜多見と比べると、小柄で華奢だ。
沢渡のように攻撃をしてきたりしない。
喜多見のように殺気を飛ばしたりもしない。
それでも泉は、
なぜかこの男が一番、恐ろしかった。
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