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今までの麗奈の狂行からして、柿崎を生かしておくのは、たとえ肉奴隷要員だったとしても想像しにくかった。
だって俺たちはまだ、4人もいる。
それなのに彼を自分の部屋に軟禁しているのには、メリットよりもリスクの方が高い。
柿崎は殺されている。
それもきっとずっと前に。
そんなの初めから気づいていた。
だからこそ喜多見を行かせたのだ。
彼が柿崎の死に気づかないように。
柿崎のためならと死に物狂いになっているうちに。
あとは麗奈の忠告通り、部屋で大人しくして、彼が連れてきてくれるであろう救助隊の到着を待つだけだ。
「それもだけど」
泉は無表情を崩さないまま言った。
「ーー変だと思わなかった?」
「―――?何がだよ……!」
白石はイラつきながら言った。
「麗奈ちゃん、さっき、“泉君と白石君は、部屋から出ないでね“って言ったんだよ」
「―――だから?」
白石が首を捻ると、泉はゆっくりと言った。
「どうして、喜多見君がもうここにはいないことを知っていたんだと思う?」
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