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「ーーー辻くん」
泉は涙をこらえると、口を押えて吐き気を我慢しているのだろう白石を振り返った。
そして彼の腕を引くとまた廊下を歩き始めた。
麗奈が引きずっていったのは辻の身体の一部だろうか。
それとも辻との激闘で麗奈自身も怪我を負ったのだろうか。
どちらにしろ、死んだのは辻だった。
ーー喜多見は、逃げた。
逃げ切った。
それに気づいた麗奈が怒りに任せて、あるいは追おうとする麗奈を止めた辻を殺した。
辻のことは惨く残念だったが、頼みの綱である喜多見は、無事にこの屋敷を逃げ出せたのだ。
なら助けが来るのを信じて待――――。
泉は足を止めた。
階段を下りた先には――――。
頭を持った麗奈が立っていた。
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