422人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
◇◇◇
ブロック塀に囲まれた屋敷を出ると、枯葉はもういなかった。
膝に手をついて粗く息を繰り返す。
泉は屋敷を振り返った。
―――辻君……。
泉は辻から渡されたそれを握りしめた。
―――これはちゃんと、妹さんに渡すからね……。
そこには、山の麓で寄った神社で買った、病気平癒のお守りが握られていた。
「―――行こう」
白石が低く言い、泉は頷いた。
屋敷は先ほどまでの騒ぎが嘘のように、静まり返っていた。
最初のコメントを投稿しよう!