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「去年の百狐祭が終わった後」 彼は低い声でその言葉を口にした。 「狐の面を被った3人の男子が、ある女子に悪戯をした」 「―――ゴホッ」 泉は喉を圧迫されえづいた。 「制服を捲り上げて、ブラをずらして乳首を吸い、パンツの中に指をさし込んで強引にその入り口をこじ開けた」 「………ッ!!」 泉は声を出すことも出来ずに白石を睨んだ。 「彼らは怖気づいたのか途中で逃げたけど、その後―――」 白石はニヤリと笑い、泉に顔を寄せた。 「もう1人の面を付けた男子が、震えて動けなかった彼女に襲い掛かった」 「……!」 「やめて!助けてえ!!……叫ぶ彼女の口を押さえつけ、そのまま自分のいきり立ったモノを突き挿れた」 「……しろ……いし……!」 「何度も何度も突き挿れ、その接合部から血が飛び散ろうとお構いなしだった。 だって彼は、柊のマニアだったから。対象物に対しての愛情なんてない。ただ純粋なる興味だけ。 この女に挿れたら、どんなに温かいんだろう。どうやって俺のモノを締め付けてくるんだろう」 白石は笑った。 「苦痛に滲んだ涙は、どんな味がするのだろう!ってね!」 酸素の足りない四肢がガクガクと痙攣する。 絞められた首のせいで、頭に溜まった血液がドクドクとこめかみ辺りで脈打つ。 両目から涙が溢れてくる。 苦しい。 苦しい……! 早く逃げなければいけないのに。 早くここから離れて、 彼から逃げて、 どこか安全な場所へ……! しかし視界がボヤける。 意識が朦朧としていく。 ――麗奈ちゃん。 いつも僕を守ってくれた、麗奈ちゃん。 怖かった? 痛かったよね。 守れなくて……ごめんね。 首を抑えていた自分の手が何かに引っ掛かった。 「―――!!」 泉はそれを見下ろすと、反対側の拳をグッと握った。 「妊娠したのか?あいつ。あの1回だけで?それって運命じゃーーー」 その瞬間、白石は振り回した泉の拳によって、横に倒れこんだ。
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