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夜だというのに蝉の声が聞こえる。
ああ、違うこれはーーー。
昔の記憶。
クリーンセンターにあった池。
その脇に石を並べて囲って、水を溜めてプールを作った。
『としくん、何してるの?』
麗奈の声が聞こえてきた。
『わーすごい。それ、プール?』
彼女は微笑みながら隣に座り込んだ。
『って言うより、温泉かな?この暑さだと』
確かに暑い日だった。
こめかみから垂れる汗を手首で拭う彼女に、泉は言い放った。
『できれば、どこかにいってくれない?
じゃないと、アリたちをプールに、
入れてあげられないから』
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