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数時間前ーーーー。
『あ……ああ……辻くん……!アアッ!アアア!』
自分の上で腰を振っていた麗奈が、
『あ、イクッ!イく!イくううッ!』
再び起き上がり、辻の上に跨った。
「ハアッ!辻君!出して!中に、出してッ!!」
出したくない。
出したらその瞬間、彼女は辻に噛みつくかもしれない。
首を刈るかもしれない。
―――でもこれ……。
辻は少しでも麗奈の動きと、与えられる暴力的な快感を緩和しようと彼女の細い腰を掴んだ。
―――無理…だろ……!
「―――!」
その時突然、麗奈が辻を抱きしめるように首に腕を回しながら動きを止めた。
しかし膣内だけは搾り取るように収縮を続けていて、
「……くっ……う…!んんッ!」
辻はその中にドクンドクンと欲望を吸い取られた。
「……は……はあ……麗奈?」
離れようとしない麗奈に違和感を覚えた。
「―――!」
と同時に腰を掴んだ指に先に温かいものを感じた。
慌てて彼女を突き放しそこを見ると、辻の指は真っ赤な血に染まっていた。
「は……?」
『ぎゃああああああ!』
次の瞬間、麗奈は悲鳴を上げた。
麗奈の眉間から左眼に掛けて掻っ切ったような深い傷が走り、血が飛び散った。
辻は、麗奈に顔を寄せていた自分の、束ねた前髪もバッサリと切り取られて宙を舞うのを見ながら振り返った。
「―――よう」
そこには、煙草を咥えた喜多見が立っていた。
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