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「喜多見は……!?俺を逃がしてあいつと戦ったはずなんだ!」
辻は走りながら泉に叫んだ。
「喜多見君は……」
泉は顔をしかめた。
「たぶん、殺された。首を刈られて、脳みそを吸われて……!」
「―――くそ!」
辻は右腕の激痛に耐えながら走り続けた。
「泉、わかってると思うが、あいつはもう麗奈じゃない」
泉が眉間に皺を寄せながら深く頷く。
「あれは、あいつの正体は―――」
辻は泉を振り返った。
「カマキリの化け物だ」
「―――!」
泉はショックを受けたのか、沼の淵で立ち止まった。
「俺は確かに、あいつの腕からカマが出るのを見た。あの目といい、スピードといい、カマキリで間違いないだろ。どう思う。お前の方が詳しいだろ!」
そう言うと泉は小さく頷いた。
「カマキリの弱点は!決定的なのねえのかよ!」
辻はその小さな肩を掴んだ。
「ーーカマキリは、昆虫の中でも最強のハンターと呼ばれ、同じ昆虫だけではなく、ネズミやトカゲ、鳥までも食べる。
それが人間大になったら、まず僕らは敵わない」
泉は視線を上げた。
「でもーーー弱点は、あるよ」
そう言った彼の背後に、カマを翳した麗奈が立っていた。
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