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「!!」
僅かに微笑んだ能面のような顔。
そこからは何の感情も読み取れない。
「……ごめん、僕の言い方が悪かった。ゴキブリがこの部屋に入っていくのが見えて、開けて見たら柊さんの部屋っぽかったから、退治してあげようとしたんだ」
「………ふーん」
麗奈の表情は変わらない。
「…………」
―――なんだ、この威圧感は……!!
辻は思わず後退りをした。
肌がビリビリと痺れ、頭皮が逆立ち、脹脛がブルブルと震えた。
ただの、女子高生だ。
自分よりも身長が20㎝も低く、体重だって10㎏以上軽い、ただの女だ。
もし彼女が猟奇的な殺人犯だとしても、その事実は変わらない。
もしここで彼女が掴みかかってきたとしてもこちらは男3人だ。
敵わないわけがない。
それなのに―――。
どうしてこんなに……!
「そっかぁ」
麗奈は気の抜けるような声で言った。
「ありがとう!やっぱり泉君は優しいね!」
そう言うと麗奈は鼻歌混じりに廊下に出て行った。
その鼻歌と足音が遠ざかるまで、3人とも動けなかった。
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