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◆◆◆
「ばかばかしい」
白石に辻、そして泉の話を聞いた吉永は腹の底からため息をついた。
「君たちは柊さんか山田、もしくはその両方にからかわれてるんだよ」
「からかわれてるだぁ?」
辻が不満そうに眉間に皺を寄せる。
「こんなのに引っ掛かって」
吉永は事も無げにソレを持ち上げた。
「あ、おい……!」
白石が焦った顔をする。
全くを持ってアホらしい。
辻や泉はともかく、白石はもう少しマシな頭を持っていると思っていたのに。
吉永は白石を睨んだ後、ソレをマジマジと見つめた。
「シリコンか、ゴムか。パーティーグッズなんかでも売ってるだろう?それにもっともらしく、スプレーで色つけたり、火で炙っていびつな形に溶かしたり、焼き付けて黒くしたり。ああ、今はレジンなんてのもあるな。レジン液を着色すれば赤黒い液体だってできるし、表面に塗れば一定時間、硬化せずにべた付いたままだし」
こんな当たり前のことを説明するのも嫌になってくる。
三人そろえば文殊の知恵と言ったのはどこのアホだ。
高校2年生にもなった男3人が空っぽの頭突き合わせて、何をしているかと思えばーーー。
これならうどん作りに邁進している彼らの方がよっぽど利口に見えてくる。
「な……なんだ、そうかよ……!」
辻がへなへなとその場に座り込んだ。
「じゃああれかな?さっきの柊さん、実は心の中で笑ってたのかな?」
白石も鼻で笑いながら隣に座る。
「もういいか?俺、勉強したいから」
そう言いながらテーブルの上にソレを投げるようにして置き行こうとしたところで、泉が手を掴んだ。
「ーーー!?」
彼の手にはナイフが握られていた。
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