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皆が慌てて席に着く。 誰からともなく割りばしを割ると、どんぶりの中を覗き込んだ。 「やだ、それには毒なんて入れないわよ」 麗奈は楽しそうにカラカラと笑った。 黒目は普通に戻っていた。 ―――何者なんだ、彼女は……。 吉永もおそらくこの場では答えが出ないだろう問いに眉間に皺を寄せながら、泉に並んで席に着いた。 「…………」 割りばしを割って右手に持ち、うどんを覗き込む。 食欲なんてあるわけない。 寧ろ今このうどんのどんぶりに朝食べたものを吐き出しそうだ。 きっと8人が8人、ほとんど同じ心境だったと思う。 それは自分と共にウジ虫が飛び出してくるのを見た辻も、 さっきまでウキウキとうどんを作っていた沢渡も、違いなく平等に。 しかし誰からともなく割りばしをスープに入れると、力なくうどんを啜り始めた。 「ふふ。たくさん食べてね」 麗奈は笑った。 ―――考えろ。考えろ……! 吉永は味もわからないうどんを啜りながら考えた。 まずは昼食を食べたら、麗奈の目の届かない場所に白石を連れていく。 そしてこれからどうやってあの女から確実に逃げるかを検討する。 そのためなら――― ーー彼女を、殺すことも厭わない。 白石を振り返った。 ーーーえ……? 「ごめん……なさい」 白石は、震えていた。
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