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……く……そ……!!
なんで今、そんなことを思い出すんだ……!!
吉永は自分の頭と切り離されてしまった身体を宙から眺めながら奥歯を噛みしめた。
同級生たちが唖然としながらこちらを見上げている。
ーーお前たち、見たか?
死を目前に、声にならない疑問をぶつける。
なんで俺の首が飛んでるのか。
どうやって切られたのか。
お前たちは見たか?
視線を麗奈に移す。
こちらをニコニコと微笑みながら見上げている。
彼女の着物の袖から覗く白い両手は、前で緩く組まれている。
包丁や鎌を持っているわけでもない。
もう一度、なす術もなく自分の頭を見上げている同級生たちに視線を戻す。
お前たちには見えたか?
俺には、見えなかった。
「―――?」
と自分を見上げる同級生たちに違和感を覚えた。
「―――泉」
吉永はその名前を口にした。
「なんでお前……」
視線が―――。
泉とだけは視線が合わない。
彼だけは自分を見上げていない。
彼が食い入るように見ていたのは、
姿勢よく立ちながらこちらをにこやかに見上げている、
柊麗奈だった。
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