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************ 『鈴木が童貞喪失したんだってー!!』 『おめでとう!!今日は赤飯だな!』 『よし、鈴木くん、感想を一言、どうぞ!!』 『ええとね。はっきり言ってオナニーのが気持ちいい!』 『サイテーかよ!!』 喧しい教室。 冷房が切られた放課後。 窓から容赦なく蝉の声も入ってきて、勉強どころじゃなかった。 吉永は机の上に展開した勉強道具を片付けると、帰ろうと立ち上がった。 と、同じく席についたままの泉が、一人、ペンケースの中身を見ながら笑っていた。 ――何を見てるんだ……? 普段めったに笑わない同級生の笑顔に興味が湧いた。 何気に後ろから覗いたそのペンケースには、 ――蝉の死骸が入っていた。 ************
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