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昨日、怪我の処置をするといって、麗奈は柿崎を自室に連れていった。
「………」
敷かれたままの布団が捲れ上がり、なんだかそれは酷く卑猥なものに思えて、柿崎は目をそらした。
「どうしたの?横になって」
彼女はそういいながら持ってきたポットのコードを繋いだ。
「し、失礼しまーす」
柿崎は麗奈の布団に仰向けになった。
甘い匂いがする。
女子高生の……というよりは、なんだか赤ん坊のような、甘くてミルクっぽい香りがする。
ーーーやばい。この匂い……。
その温かい香りを嗅いでいると、下半身が勝手にモジモジし始めた。
太股を擦り合わせ軽く唸る。
「ーー痛い?」
マグカップに熱湯を注ぎ、それでピンセットを消毒した麗奈が心配そうに振り返る。
柿崎は、
「はは……やっぱ多少はね」
と誤魔化した。
麗奈は仰向けに寝転がっている柿崎に寄り添うように座ると、柿崎のベルトを外し始めた。
「ひ、柊。それ、自分でできるから……!」
慌てて言うが彼女は、
「怪我人は大人しくしてなさい!」
と言いながらそれをズルズルと膝まで下ろした。
「ーーーーッ」
柿崎は羞恥のあまり目を腕で覆った。
力なく右側にダランと横たわった自分のモノ。
もしかしたら妙に緩いトランクス足の間から見えているかも知れない。
そのポジションをあからさまに直すこともできず、柿崎は短く息を吐いた。
「ごめんね、本当は麻酔をしてする処置だから、痛いと思う」
しかし麗奈はそんなことお構いなしで、太股の幹部に傷口消毒用のアルコールを噴射し始めた。
「いや……大丈夫」
柿崎は腕をはずして自分の足を見下ろした。
シャワーのように浴びせられた消毒液に、血が混じった液体が太股を伝い、麗奈が宛がっている白いタオルに吸い込まれていく。
その様子をただ見ていたら、麗奈が視線をあげた。
「トランクスって……」
「ーーえ?」
「珍しいね……?」
ーートランクスが珍しい?
まあ男子高校生の中では多数派のボクサーパンツからすると珍しいかもしれないけど。
なんだ?
なんで今、そんなことを言う……?
「ーーーあ」
まさか……。
あのときのことを言っているのか……?
「ーーそ……そう?」
意図を掴みきれずにおそるおそる聞くと、麗奈はふっと笑って傷ついた太股に視線を戻した。
「……あ、そうだ」
そして再び柿崎に視線を戻すと、その口に白いタオルを差し出した。
「これ噛んでた方が楽だと思う」
「ーーえ?」
「だいぶ……痛いと思うから」
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