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「ふざけんな……!」
沢渡の声で、意識は現実に戻った。
「抵抗せず、逃げようとせず、大人しく一人ずつ食べられるのを待つだと……?んなことできるかよ!」
立ち上がり叫ぶ沢渡を、皆が力ない瞳で見上げる。
「じゃあ窓から逃げればいいだろ。たちまちあの枯れ葉たちに喰われて終わりだぞ」
白石が睨む。
「柊さんに立ち向かってもいいぞ。一瞬で首が飛ぶからくりがわかるならな」
「てめえ……!ちょっと黙れや!!」
白石の胸倉を掴んだ沢渡を、
「やめろって。沢ちゃん……!」
本能的に止める。
「柿崎……」
怒りの矛先がこちらに向いた。
「お前、昨日、怪我の処置とか言いながら、あの女とセックスしてたのか?」
「――――」
皆の視線が自分に向く。
「なのに山田は殺されて、なんでお前は生きてんだよ?」
沢渡の眼球が大きくむき出される。
「お前、もしかしてあの女とグルなんじゃねえの?」
―――なに……言ってるんだ……?
「協力者がいればこっちの動きの把握ができるし、いろいろと便利だよなぁ!」
沢渡が笑いだす。
「こういうところでもイケメンは得だなぁ。ちょっと誘惑したら化け物でもイチコロですかあ?」
―――こいつは……!
怒りで血が湧き立ち、身体中の毛穴が開いて毛が逆立った。
―――こいつはやはり、ガキ大将の器じゃない。
そう悟った瞬間、湧き上がったのは、嘲笑だった。
「……なに笑ってやがる!!」
沢渡が今度は柿崎の胸倉を掴み上げた。
「ーー予言してやるよ」
柿崎は笑いながら沢渡の胸に人差し指を付けた。
「次に殺されるのは、お前だ」
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