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「わたしは比べる人もいないけど」
「んー、実那都の拗ねた顔も可愛い。ジェラシーは大歓迎だ。おれを愛してるっていう、明確な実那都の意思表示だよな」
あまりに都合がいいポジティブな解釈で、実那都は笑わされる。
あながち、間違ってはいないけれど。
「そういう考えって、やっぱりストーカーっぽい」
「あくまで“ぽい”だよな。ストーカーじゃなくて、おれのラブコールが最強なんだ。だろ?」
少年っぽい無邪気な自信満々ぶりに笑いながら、実那都は大きくうなずいた。
「わたしも航の寝顔は好き。綺麗だから。それに、朝起きて寝顔を見たとき、一緒に暮らしてるってことをいちばん実感できるんだよ」
そんな実那都の告白に航は小さく呻くと。
「そろそろ躰で語り合おうぜ」
航は航らしく云い、実那都の頬を両手でくるむと下から笑みをすくうようにくちびるをふさいだ。
―第8話 了―
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