7.不束者vs不届者

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「ほぼほぼ、おれのためでもあったけど」  と、なんのことか戒斗はそう云って、握手したいところだけど、と続けながらちらっと航に目をやって―― 「航から殴られそうだからやめておこうか」  と、実那都に目を戻すとおどけて肩をすくめた。  思わず隣を振り仰ぐと、航はからかわれたにもかかわらず、逆に思う壺だといった様子でにやりとしている。 「さすがかどうかはわかんねぇけど、賢明だな」 「どういう人間か、見る目はあるつもりだ」  戒斗は、航に負けていない自信満々ぶりだ。 「光栄に思えって?」 「そう云うほど、おれは何者でもない」  戒斗は軽く一蹴すると、 あいつらが待ってる、 と云って後部座席のスライドドアを開いて乗るように促した。 「おう」 「荷物はこちらへ」  航の返事に被せるように、また別の男性の声がした。
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