7.不束者vs不届者

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 かといって、もろ手を挙げて賛成というわけでも当然、なく。  実那都の意志を確認したうえで、クリアする条件としてひとつ――実那都の両親にきちんと伝えること。  そう云われて航がのんびりしているはずもなく、実那都を家まで送るのに託けて実行に移した。  西崎家では藍岬家でと同じように――いや、それよりももっと実那都はすくんでしまったのに、航は物怖じもせず。  大学に行くこと、東京に連れていくこと、一緒に住むこと、上京後の負担は自分たちで賄うこと。 学生の間は航の両親がバックアップしてくれること。 そして、それらのための手続きや準備には協力してほしいこと。  夜遅くに家に上がりこんで、航が云ったことは爆弾発言に聞こえただろう。 両親はしばらく返す言葉を失っていた。
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