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「うれし泣きだろうな?」
頭の天辺に大きな手が被さり、航は前かがみになりながら実那都の顔を覗きこんだ。
「ぅん……」
「グチグチ云われても気にすんじゃねぇぞ。
気にするくらいなら、受験をラクに挑めるように勉強しろ。
前を向け。
後ろ向いてたら、ぶつかったり転んだり、実那都にはロクなことになんねぇ。
おれはぶつかるまえに背中からでも吹き飛ばすし、転ぶまえにバク転でかわしてやるけどな」
航はやっぱり実那都を笑わせてくれる。
航なら言わずもがな、器用にそうしそうだと確信できる。
「バク転てできるの?」
実那都が訊ねると、航は実那都の頭の上から手を放して躰を起こしながら玄関アプローチをちらりと見渡したあと、ジョガーパンツのポケットに手を突っこんだ。
そこからスマホを取りだすと実那都に差しだした。
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