7.不束者vs不届者

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「持ってろ」  そう云って航は実那都から離れ、万歳した。 すぐに実行してみせるつもりだと察し、実那都が危険だと止める間もなく、航はひょいと飛びあがってあっさりとバク転を成功させた。 「航……すごい!」 「ったりめぇだ。これくらい序の口だって。おれはできねぇことは云わねぇ。わかったか?」 「背中からぶつかった壁も吹き飛ばせるの?」  航は実那都の傍に戻ってきてスマホを受けとりながら、宙に目をさまよわせたあと。 「それはできねぇかもしんねぇ」  と、あっさりと前言撤回になるようなことを云う。  プッと実那都は吹きだす。 それで終わる航でもない。 「けど、別の……遠回りでも、ずっとさきでも、もっといい景色の見える道を進む」  航は実那都にとって希望そのものだ。 期待すること以上の力強さを見せてくれる。
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