7.不束者vs不届者

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7.不束者vs不届者

 両親と姉妹の四人家族、西崎(にしざき)家の日常は、目に入れても痛くないほどかわいくてきれいな妹の加純(かすみ)を中心にまわっている。 姉である実那都(みなと)は両親にとって蚊帳の外。 そんな日常のなか、実那都はだれにも頼らないで自立しようと思ってきたけれど。 『おれ、東京に実那都を連れていく。大学に行く四年間だけ、家のことは甘えさせてほしい。一緒に住むから』  一年前、まだ十七歳だった藍岬航(あいさきわたる)は自分の両親を前にして、率直に報告した。  そう、決して両親に頼んだわけではなく、絶対の意志を示して決めたことを明言したのだ。  そのとき、航の隣で実那都はただ身をすくめていた。  これが実那都の両親だったら。 とんでもない、というひと言で強制的に話は終了させられる。 それを―― あなたたちも一年後には結婚できる年になってるのよね、 と、航の両親は真っ向から反対はしなかった。
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