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焦って起き上がると私の身体から、ぱさりとお布団が落ちた。
「ひっ!?」
途端、自分が裸だということに気が付き、慌ててお布団をぎゅっと掻き抱いた。
「な、なに、なんで、なんで?」
パニックになりながら、恐る恐るもう一度シーツをめくって言葉を失った。理由な二つ。自分がお洋服どころか、下着すら纏っていなかったからというのが一つ。もう一つは、ベッドの真ん中あたりに、真っ白なシーツを汚すようにして、赤い染みが見えたからだ。
「えっ、うそ、もう来ちゃったの!?」
血の気が引いた。生理の予定日はまだまだ先なのに。でも人様のシーツを汚すなんて言語道断だ。泣きそうになりながら他に汚れている箇所が無いか、シーツに頭を突っ込む。
でも汚れているのはその一か所だけで、しかも随分と前に汚れたのか染みは完全に乾いている。そういえば、いつもみたいにお腹が重たくない。あれ? やっぱり生理じゃない。 じゃあ何の血?
首を捻りつつも、とりあえずお洋服を探して部屋中を見回した私は、またもや「ひっ」と悲鳴を上げた。
「だ、だだだ、誰……!?」
広いベッドの端っこに、お布団に埋もれるようにして緩いウェーブのかかった髪の毛が見えたのだ。視線を下に辿ればお布団がこんもりとしていて、私以外の誰かがこのベッドの上に居ることは明白だった。
まさか神様が、リゾート旅行だけじゃなくて旦那様までプレゼントしてくれた? いやでも、さすがにお相手は自分で選びたいですのですが!? というかそもそも、本当にこの方はどなた!?
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