1st week

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 膨らませる前の風船のような見目のそれは、真ん中辺りでぎゅっと丸結びにされていて、白色に近い何かの液体が先端部分に溜まっているのが、半透明の素材から透けて見えた。 「……卵白? か、薄まった練乳……?」 「んなわけないでしょうが。精子だよ」 「せっ、い……!? きゃあ!」  物体Xから逃れるようにして大きく仰け反った私は、そのままベッドから転がり落ちてしまった。  打ち付けたお尻の痛さを気にする余裕もなく、必死にシーツを身体に巻き付ける。私はパニック状態のまま、上から悠々とこちらを見下ろしている青瀬君を見上げた。 「な……なに……なんで? え? え? どういうこと……?」 「は? まさかとは思いますけど、昨日のこと覚えてないんですか?」 「昨日のこと……?」  必死に最後の記憶を辿る。昨日は確か会社の飲み会だった。普段はあんまりお酒を飲まないけれど、部長がお酌してくれた日本酒が思ったよりも飲みやすくて、だから3杯くらい飲んじゃって、それから、それから。 「…………」  ほんの断片的にだけど、記憶が蘇ってきた。途中で眠たくなっちゃって、机に突っ伏して眠っていたら部長に起こされて、もう飲み会終わったよって言われたのに立ち上がれなくて、そうしたら誰かが言ってくれたんだ。僕が白花さんのこと送っていきますよ、って。  そのまま青瀬君に支えられながらお店を出て、ちょっと〝休憩〟しませんか?って言われて、それで、それで、私……しようしよう、って言った気がする。
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