656人が本棚に入れています
本棚に追加
どうしよう。その辺りから記憶がさっぱりない。え? そもそも休憩って、そういう意味だったの? てっきりカフェでコーヒーでも飲むのかと思ってたのに! とんでもない日本語の罠だ!
ううん、待って。私の馬鹿な勘違いは置いておいて、大事なのはそこじゃない。私はまさか青瀬君と、え、え、えっちをしてしまったということでしょうか……?
「この事、誰にも言ってほしくないですよね? 僕が広めちゃったら、もう白花さん、仕事続けられないんじゃないですか?」
青瀬君が物体Xをぷらぷらと揺らしながら言った。床に座り込みながら茫然とその動きを追っていた私は、その場に両手を付いて勢いよく頭を下げた。
「ご、ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」
「え? いや、嘘でしょ。なんの土下座?」
「大事な大事な後輩に、わ、私はとんでもないことを……! 黙っててなんて言えないです、慰謝料でもなんでも払います! 本当に申し訳ないです!」
ぶるぶる震えながら床に頭を擦り付けると、頭の上から短い笑い声が落ちてきた。
「いや、別に金の問題じゃないですし。てか早く上あがったどうです? そこ、あんまり綺麗じゃないですよ」
確かにお部屋は土足であがるタイプのようだったので、そそくさとベッドの上に戻る。
居心地の悪い思いでベッドの端っこに正座をしながら、大きく伸びをしている青瀬君を見つめた。とりあえずお洋服が着たいんだけど、どうすれば良いんだろう。
「で?」
落ち着かない気持ちでシーツを抱き締めていると、伸びを終えた青瀬君が、そう言って私を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!