3rd week

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「や、まって、」 「おい。手止めんな」 「でも、でも、触らないって約束……!」 「下は触んないから、ここだけ触らせて」 「ふ、あ」  優しい指先が胸の先をかすめて、思わず力の抜けた声を上げてしまう。  そっと揉みしだかれて、頭の中があっという間に霞んでいく。青瀬君に手を引き寄せられて、何の抵抗も示せないまま、またさっきと同じ動きを繰り返した。  そうするのが当然だったみたいに、私たちはいつの間にかキスをしていた。重ねた唇の隙間からふたつ分の乱れた息が漏れ出していく。  刺激が身体のあちこちに及んでいて、どこに集中していいのかが分からず、意識が簡単に手元から遠ざかりそうになった。 「もっと早く、」  そんな余裕をなくしたように声に背中を押されて、濡れた指先と心音が速さを増していく。  互いの舌が形を無くすくらい絡み合って、火傷しそうな眼差しと視線が交わって、繋がっているところが混線して、もう、なんだか、全てがぐちゃぐちゃに溶けてしまいそうだ。 「あー、やばい。ごめん、白花さん、」 「へ……」 「出そう」 「え、わっ、」  握り込んでいたものがびくりと脈打って、驚いて咄嗟に手を放そうとした時、私の両手を青瀬君が上からぎゅっと強く握り込んだ。 「っ、は……、」  押し殺したような吐息と共に溢れ出してきた白い液体が、青瀬君の手もろとも、私の両手をどろりと濡らす。  握り込まれているせいで逃げることも叶わず、温かなそれが私たちの手をゆっくり伝っていくのを、茫然と見つめるしかなかった。  とても現実とは思えない光景に卒倒しそうになりながら、どうしてだか私は、ほとんど記憶にないはずの青瀬君との始めての日の事が、紛れもなく現実だったのだと今更ながらに自覚した。  たぶん、記憶が覚えていなくても私の身体が覚えていたんだと思う。  あの日、確かにこれが、私のなかに入っていたんだって事を。
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