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プロローグ
就職に失敗したわけでもない
お金がなかったわけでもない
ましてや人に軽蔑されるようなことをしたかったわけでもない
ただある日、たまたま自分が持っていたゲーム機をオークションに出したら高値で買い取られ、それからは坂を転がり落ちるように【モノ】を稼ぐためのツールとしか見れないようになっていた
※※※
【ちょっと前に値崩れした時に、オークションで大量✌️いま焦ってるヤツざまあ。俺大勝利✌️】
と呟いたら罵詈雑言のコメントが山ほどきた
だが、それが販売に影響することはほとんどない
複数のアカウントを使って、大手から中小のフリマサイト、地域の掲示板、多数のオークションサイトを使い、さも転売目的ではない風を装って出品すると、あら不思議、皆が転売ヤーが出品している値段とほぼ同額であるにも関わらず買っていく
【子どもの誕生日プレゼント用に買ったのですが、妻も同じものを買っていたのでひとつお譲りします】
とかそんな文言だ
その日も、違うサイトに出していた同じ商品をまとめて配送してきたばかりだった
カフェで発注状況の確認をしていると、座っていられないほどの腹の痛みで椅子ごと床に倒れた
あまりの痛みに冷や汗が流れ、腹を押さえてうめくしかなかった
やがて薄れゆく意識の中、救急車のサイレンが近づいてくる音を聞いた
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