御隠居馬 ミホノライデン

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御隠居馬 ミホノライデン

 得意な東京競馬場で2勝目を挙げたミホノライデンだが、それ以降の成績はパッとせず、主戦騎手とも別れ、様々な騎手が乗り替わる競走馬となった。  しかし、どれほどの名騎手が乗っても成績は向上せず、遂に馬主から引退を宣告され、肩を落としながら厩舎を去った。 『ああ、今日も山がきれいだなぁ』  故郷に帰ったミホノライデンは、牧場の農作業を手伝いながらのんびりと余生を過ごしたという。  彼自身は20年の生涯を全うしたが、その翌年には牧場も閉鎖され、現在では真っ白な平原と、ライデンが好きだった山々が静かに空を見上げている。
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