魔王の復活

1/2
前へ
/2ページ
次へ
 魔王の玉座が鎮座する広間は奇妙な静寂に包まれていた。  時折、どこからか忍び込んだ風が魔物の嘲笑う声に聞こえる。  松明の火がゆらゆらと揺蕩うたびに、魔王と幹部の顔を怪しく何度も灯した。 「魔王様! いよいよですね!」  魔王幹部の一人がそう言うと、 「ああ…長かった。この時をどれだけ待ちわびたことか」と魔王は不気味に微笑んだ。  魔王は自分の体に視線を向けた。  手のひらを何度も動かし、体の感触を確かめる。 「勇者によって傷ついた体はすでに癒えた。余の世界征服はまだ始まったばかりじゃ」  幹部は神妙に頷いた。 「忌々しい勇者共め…。奴らが存在する限り我が覇業は成就せぬ。今度こそ…すべての人間を余に服従させねば、余の怒りはおさまらん」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加