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1 起動
──システム、異常なし。バッテリー状態、良好。
「EDEN Defense System。スタートアップ」
ボクが起動すると、そこは黒い壁に囲まれた暗い部屋だった。大きなモニターの光がなければ、部屋の中は真っ暗だ。
「やぁ、お目覚めだな」
声のする方を見ると、そこに居たのは白いスーツを着た男の人。
整えられた黒髪と、清潔感のある装い。優しく微笑んでいるが、眼差しは氷のように冷たい。
「9号機。気分はどうだ?」
「ボクに気分という概念はありません」
「ああ……そうだな。お前はアンドロイド。心などないか」
男の人はそう言って嗤った。
「所で、貴方は誰ですか?」
「私は天海修吾。エデンカンパニーの社長であり……お前の開発者だ」
「ボクの……開発者」
「そう。私はお前のマスターだ。お前は私の命令に従っていればいい。それがお前の存在意義だ」
「マスター……存在意義……」
ボクがこの世界に存在しているのは、マスターのお陰。マスターのために働くことが、ボクの生まれた理由なんだ。
「分かりました。命令を下さい」
「よろしい。少し待っていなさい」
マスターはそう言うと、部屋から出て行った。
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