2 帰宅

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2 帰宅

 聖夜さんに連れて来られたのは、エデンカンパニーのすぐ近くにある綺麗なアパートだった。玄関先の看板に、エデンカンパニーと同じマークが付いていたのを考えると、このアパートはエデンカンパニーが運営しているのだろう。 「ただいま~!」  聖夜さんは誰も居ない部屋に向かって声を掛ける。返事が返ってくるはずないのに、何故そんなことをするのだろう?  そんなことを考えながら、ボクが黙って部屋に入ろうとすると、聖夜さんが立ちはだかって僕を遮った。 「家に帰ってきたら、ただいまって挨拶しなきゃいけないんだぞ?」 「ここはボクの家じゃありません」 「まあまあ、そんなこと言わずにさ!折角同じ家に帰ってくるんだから、挨拶ぐらいしてくれよ!」  ……必要性が分からない。この人はボクと家族にでもなりたいんだろうか。マスターはこの人のことを英雄だと言っていたけれど、とてもそうは見えない。ボクは家族ごっこをするためにこの人といる訳ではないのに……  とはいえ、家に上がれないのは困る。ここは取り敢えず聖夜さんに合わせておこう。 「ただいま……」 「はい、よくできました!」  聖夜さんはニカッと笑って、僕の頭をわしゃわしゃと撫でた。
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