2 帰宅

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 何だか、本当に英雄なのか怪しく思えてきた。聖夜さんはただの一般人なんじゃないか?  ボクは自分に搭載されている検索エンジンを使って、聖夜さんを調べてみた。  ──宵月聖夜。5年前、高次元生物を生み出した敵を倒し、世界を救った英雄の1人。アビリティは『加速』。テレビでも連日放送されていた通り、その性格は優しく穏やかである。左右で目の色が違うのは、嘗て彼の命を救った仲間のアビリティの影響らしい。彼自身は仲間と表現しているが、深い仲だったのではないかとの噂もあり、ファンをどよめかせている。  ……本当に英雄なのか。それから、左右で違う目の色にはそんな理由があったなんて……知ってはいけないものを知ってしまったような気がする。 「何してるんだ?」  気がつくと、聖夜さんがボクの顔を覗き込んでいた。 「……貴方のことを調べていました」 「俺のこと?何で?」 「貴方が英雄に見えなかったから、本当にそうなのか気になったので」 「え……やっぱり見えない?よく言われるんだよな……」  聖夜さんはそう言うと溜息をついてしまった。 「……まぁ、英雄なんて大したものじゃないからいいけどな!」  そう言って、誤魔化すように笑いながらボクの頭を撫でる聖夜さん。 「……何故ボクの頭を撫でるのですか?」  
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