走り出す呪いを解き放て

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「……後ろから怒鳴り声が聞こえる。サボったのがバレたらしい。行こうと彰の手を引いて、翔太は走り出した。……走り出してる」 「ってか、沙織ってそんなBLばっか書いてたっけ」 「昔はわりと。最近は男女の恋愛も書くけど……って今それは関係ないでしょ」  どうやら私たちの書く話は走り出して終わることが多いらしい。  これは物書きとしていかがなものなのか。とりあえず3日後に締め切りを迎える話の執筆をいったん止めて、脱・走り出すの方法を考えることにした。 〇  まずはプロの見本を参考にしようと考えた私たちは学校の図書室を訪れた。とりあえず好きな作家の本を片っ端から持ってきて最後のオチの部分だけを読んでみることにした。 「笑いかけた。で、終わってる」 「こっちの話は相手に抱きついてる」 「抱きつくいいね」 「あとはメロディーが流れた、どっと疲れてベッドに倒れこんだ……なるほどちゃんと話が終わってる」
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