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走り出す呪いを解き放て
まただ、と瑠美がつぶやいた。絶望を含んだ声音に何事かと顔を上げればパソコンの前で硬直している。
いったん手を止めて画面を覗き込めば瑠美が愛用しているエディタソフトが開いてあった。ぎっしりと書かれている文章はおそらく先週から書き始めたという新作だろう。
「これ今度のコンテストに応募する話?」
「そう」
「お題どれにしたの?」
「炎」
私たちの所属する文芸部では活動の一環として、ある小説投稿サイトが開催しているコンテストへ作品を応募している。コンテストではいくつかのお題が出されていてその中のひとつを選ぶ。規定の文字数は1万字でお題に沿っていれば恋愛でもファンタジーでもジャンルは問わないという緩いコンテストだ。
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