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「カレカ……聞き間違い?」
「じゃねーわっ!」
「え?」
「どこまでボケてんだよ。事実だろ。とっくに知ってることだろ!」
虚無から脱した後輩は、いつもの調子を取り戻した。それは良かったけど、新たな問題が私の上に降りかかってる。
カレカノ……が、事実? それを、とっくに知ってる?
〝誰〟が?
「……私たち?」
質問を間違えなかった。
正直、『誰のこと?』と聞きそうになった。でも、それを口にするのは駄目だ。その質問は違うと、もうひとりの私が止めてきた。
「ふん、間違えずに聞けたな」
掻きむしったせいでボサボサ頭のままドヤ顔を決めてる生意気な後輩が向けてきてた視線が、とても雄弁だったから。
私よりも長い睫毛を持つ大きな瞳が、真摯で熱い想いをそこに乗せていたから。
「いつから?」
でも、これは聞いてもいいと思う。むしろ、今、聞いておかないと。
「褒めた途端にそれかよ!」
「だって、全然、思い当たらない」
褒められてないのに『褒めた途端』って、おかしな言い草だ。そんなことを思いながら首を傾げる。
私たち、いつから交際してることになってた?
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