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唐突に理解した。全てが腑に落ちた、と言っても良い。
「信じて、くれるの?」
口から出まかせの言い訳かもしれないのに?
「ん? だって真実なんだろ? というか、あんたが自分に都合のいい嘘をペロッとつけるような器用なヤツだったら、俺、こんなに心配性になってねぇし。堅物で融通が利かなくて、他人の面倒事まで背負い込む迂闊なアホで、そのくせコミュニケーション能力が絶望的に欠けてる馬鹿女なんだからさ」
「何それ。そこまで言わなくてもいいじゃない。いつもいつも酷いわね」
私、自分の気持ちの在処がわかった。ようやく。
「でも、ありがとう。こんな私のこと心配して怒ってくれるの、ひかる以外では宇佐美くんだけよ」
こんなに面倒くさい私の内面をここまで理解して、庇うだけじゃなく、私という人間を尊重してくれるのは。
「あ? ここでデカ女の名前を出すのかよ。はいはい、どうせ俺は二番手ですよ。けど、今に見てろよ。そのうち絶対にあんたの一番になってやるん……」
「だから、〝異性で一番〟だって言ったんだけど。伝わらなかった?」
「……は?」
「それに、とっくに歌鈴にも同じ紹介を済ませてたわよ。〝私の一番〟だって。まぁ、あの時は無自覚だったわけだけど」
「ちょっ……え?」
自分でも不思議だった。大事な親友の墓前に部活の後輩を伴っただけじゃなく、あんな風に紹介するなんて。
でも、気持ちの在処を知った今なら、わかる。歌鈴の前だから、だ。自分でも気づいてなかった無意識の想いが溢れ出たんだ。
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