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「ごめんなさい。ほんの一分ほど前に自覚した。鈍感でごめんなさい」
「嘘……ほんと? ほんとのほんとに、俺、のこと……マジ?」
「私はこういうことでは嘘はつかないって、ついさっき宇佐美くんが言ってたんじゃなかった? あとね? いい加減、納得してくれないと、私だって恥ずかしいんだけど」
恥ずかしい。
「何回も告白させられてるみたいで居たたまれない」
こういうのを羞恥プレイって言うの?
「あ、ごめん。けどさ、俺、さっきまでめちゃめちゃヘコんでたからさ。気持ちの浮き沈みが激しくて、展開についていけてなかったわ。でも、そっか。〝恥ずかしい〟んだ。へぇ……そっか」
「あっ」
「俺のこと、異性としてバッチリ意識してんだ。ふーん」
ずっと手を掴まれたままだったと、今、気づいた。
「じゃあ、もしかしてドキドキしてる? 今」
だから、容易に身体が密着する。
「うん」
長い睫毛に縁取られた綺麗な黒瞳をこの距離で見上げるのは、実は初めてじゃない。なのに、なんだか胸が痛い。
私、知ってる。これは『好き』って気持ち。
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