4 花待つ、春のうた

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「ごめんなさい。ほんの一分ほど前に自覚した。鈍感でごめんなさい」 「嘘……ほんと? ほんとのほんとに、俺、のこと……マジ?」 「私はこういうことでは嘘はつかないって、ついさっき宇佐美くんが言ってたんじゃなかった? あとね? いい加減、納得してくれないと、私だって恥ずかしいんだけど」  恥ずかしい。 「何回も告白させられてるみたいで居たたまれない」  こういうのを羞恥プレイって言うの? 「あ、ごめん。けどさ、俺、さっきまでめちゃめちゃヘコんでたからさ。気持ちの浮き沈みが激しくて、展開についていけてなかったわ。でも、そっか。〝恥ずかしい〟んだ。へぇ……そっか」 「あっ」 「俺のこと、異性としてバッチリ意識してんだ。ふーん」  ずっと手を掴まれたままだったと、今、気づいた。 「じゃあ、もしかしてドキドキしてる? 今」  だから、容易に身体が密着する。 「うん」  長い睫毛に縁取られた綺麗な黒瞳をこの距離で見上げるのは、実は初めてじゃない。なのに、なんだか胸が痛い。  私、知ってる。これは『好き』って気持ち。
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