1. クリスマスの足音

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1. クリスマスの足音

「えっ、クリスマス・パーティー?」 事の発端は、5週間前の11月中旬の放課後の事。 ルームメイトである真理絵からだった。 学校が終わり、周りの学生達はそれぞれアルバイトや寮に帰る準備で散り散りになっていった。 「そう!ほら、もうすぐ冬休みじゃない?クリスマスから新年の1日までは学校は休みに入るし、エレナ達も帰っちゃうでしょ?だからその前にパーティーやらないって話してるんだけど」 「へえ~。いいね!やろうやろう!」 * 「クリスマスかあ。もうそんな時期なんだなあ…」 アルバイト先のカフェに向かいながら不意に感慨深いような、妙に侘しいような、不思議な気持ちになる。 真理絵を始めルームメイト達3人は、イギリスに来なかったら絶対出会わなかった大切な友達だ。 学校を卒業してからもずっと付き合っていきたいし、一生の友達でいてほしい。 『プレゼント交換とかもしたいよね!』 真理絵はそんな事も言っていた。 「何にしようかな…」 『I don’t want a lot of Christmas, there is just one thing I need…』 彩も好きなマライア・キャリーの有名なクリスマス・ソングの一曲を口ずさんでいた先輩店員のメイの姿に、彩も早速、更衣室へと駆けていった。
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