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長い間走り続けているキィとニィがティップの様子が変な事に気がつきました。
ニィが心配して声をかけました。
「ティップ大丈夫?」
するとティップが涙声で答えました。
「もう走れない、ごめんなさい。皆行って」
キィが少し休もうと言ってもティップは首を横に振って答えます。
「だって遅くなっちゃうから、私はいいから行って」
するとグゥが言いました。
「ティップ、僕の背中に乗りなよ」
「えっ、いいの?」
グゥはニッコリ笑って頷きました。
そのやり取りを木陰からこっそり見ている何かがいます。その視線に気付いたダックがそちらに向くと驚いて。
「あっ、くまのフゥさん!」
皆がそちらに目をやると、小熊のフゥさんが、寂しそうな目で皆を見ています。そして聞きました。
「皆、僕のお父さんとお母さん見なかった?」
ダックが答えます。
「いないの?」
「うん、何日も帰って来ないの。美味しい物を食べさせてあげるねって言って行ったっきり帰って来ないんだ」
フゥさんは堪えていた涙を溢しながら続けます。
「きっと捕まっちゃったんだよ。僕は美味しい物なんていらない!ハチミツがあれば良かったのに」
するとグゥの背中に乗ったティップが言いました。
「きっと人間の仕業だよ。木を切って森を狭くしていって、だから食べ物も獲れなくなって、私だってそうだし、ダックだってお池にいられなくなって」
グゥが言いました。
「それだけじゃなく、捕まえて行くなんて」
キィが言います。
「そうだ!王子様に頼もう!」
フゥが驚いて「王子様に?」と聞きました。キィはお城の話をフゥにしました。そして一緒に行こうと言いました。
ニィが「そうだよ、早くしないとお願い聞いてもらえなくなっちゃうよ。走ろう!」
と言った時でした。空から音がします。
バサッ、バサッ!
何かが降りて来ました。
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