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たっ君はユイちゃんとまあ君とバイバイをして雪の中を歩いていました。
たっ君もみんなみたいな人気のキャラクターの絵が付いた、青や黒の濡れても拭ける革みたいな手袋が欲しいと、何度も何度もお母さんに頼んでいたのです。
でもいつもお母さんは「おばあちゃんが一生懸命編んでくれた形見の手袋だよ」と言って聞いてくれません。
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次の日、たっ君は雪合戦には入らずに少し離れた場所から見ていました。
「こんな手袋いらないやっ!」
その時雪合戦の雪がたっ君に当たりました。
「たっ君、何で入らないんだよ!」
雪をぶつけたのはまぁ君でした。
「やりたくないから」
たっ君は小さい声で答えました。
するとまあ君が言いました。
「ちがうだろ?また手袋濡れちゃって手が冷たくなるの嫌だったんだろ?」
今日もまぁ君はたっ君をからかっています。
ユイちゃんが心配そうに近づいて来て聞きました。
「たっ君そうなの?」
たっ君はふたりを見て言いました。
「違うよ!やりたくないだけだよ!」
またまあ君が言います。
「嘘つくなよ!手袋が恥ずかしいんだろ?」
涙を溜めてたっ君がまあ君に向かって言いました。
「僕だってみんなみたいな手袋欲しいってお母さんに頼んだよ!でもばあちゃんが編んでくれたんだから大切に使えって、聞いてくれないんだ!」
それを聞いたユイちゃんが、またあの小さな袋から飴を出しました。
「たっ君、まあ君、ハイ!飴あげる」
ふたりは黙って飴を受け取りました。
「たっ君、まあ君、この袋何だかわかる?」
ふたりは不思議そうに首を振っています。
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