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異世界に飛ばされてよくわからない職業になっていることで途方に暮れているとノックの音がした。
コンコン
「あのー、お目覚めでしょうか?」
「はい、おはようございます」
「おはようございます」
「昨夜はよくおやすみできましたか?」
「ええ、お陰様で」
促されるまま居間へ向かう。
村長がいう。
「先ほど知事様の救援物資は今日の昼には届くとの連絡を頂きました。」
「おお!良かったですね」
「なんでも途中の道が崖崩れになっていて迂回していたそうでしでして」
「なるほど」
村長は言いづらそうに続ける。
「それでですね…」
「分かってますよ。もう一食分作って配りましょう」
「すみません、よろしくお願いします。」
と言うことで村人たちの朝食50人分を作ることになった。
流石にね、二人前焼けるホットサンドメーカーを使って両手で焼くから
一度に四人前作れるようになっているし、そろそろ慣れたよ。
そんなわけで最後の一人分を作った時に能天気な音が鳴った。
ぱららぱっぱぱー♪
ホットサンドレシピ
バナナサンドを獲得しました。
ふむ、スイーツ系レシピか
あとで作ってみるかなと思いつつ
ポポとロロにも手伝ってもらい村人たちに届ける。
そうやって配り終えた頃に馬車の集団が現れる。
村人たちが広場に集まり始める。
「おおー!到着したぞー!」
「助かったー。」
歓声が聞こえる。
そうか、これが救援物資を届けにきた知事の一行か。
馬車の一向の中で一際目立つ人物が声を上げる
「この村の代表者はいるか?」
大きな声だ。
燃えるような赤い髪、さらに同じ色の髭が顔をぐるりと覆っている
さしずめ赤い髪のライオンのようないでたちだ。
「はい、この村の代表は私です。」
村長が前に出た。
「私は要請があって救援物資を持ってきたライオネル。こちらがココム村で間違いはないな?」
「はい、ココム村でございます」
「うむ、では要請のあった救援物資を持ってきた。受け取って欲しい」
「遠いところ、ありがとうございます。大変助かります。」
「うむ、無事に届けられて何よりだ。」
「それで、こちらには滞在していただけるのですね?」
「ふむ、例の件もあるしな。しばらく滞在することになるだろう」
「何もない村ですが、ご寛ぎください。」
「ありがとう、そうさせてもらおう」
救援隊はおよそ二十人ほど、村はずれにテントをはり宿泊の支度を始めた。
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