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「まず術式に魔力をこめて、こっちはこの術式を同じようにして、編み込む。魔力を入れすぎるなよ」
1つずつ詳しく確実に教えてくれる。
魔力の入れ方、術式の描き方。編み込み方。貼り方。
「下手くそ、その術式の描き方だと編み込む時に耐久力が落ちる」
相変わらず口は悪い。
だが、悔しい事にめちゃくちゃ教え方が上手い。
古代魔術を知ってるってことは昔から魔術を知ってるって事だよな。
「シドって500年以上生きてるんだろ?ヴァンパイアって誰もがみんなそんな寿命長いの?」
「いや、普通のヴァンパイアならお前たち人間と寿命はそう変わらない。だが俺は一定時期から寿命が止まり、基本的に死ぬ事は無い。」
「いいなぁ、それ。」
死なない。
それは死を恐れる必要がないって事
人間のルイからしたらとても魅力的なものだ。
「…………お前はそう思うのか。」
顔を見てもこいつが何思ってるのか分からないが、少し悲しそうに見えた。
俺、なにかマズイ事言ったかな?
「あっ……シド……」
声を掛けようとしたが、全術式を貼り終えたシドはこちらを振り向く。
「遅い。喋ってないで手を動かせ」
「あーもう、わかってるよ!!!」
少し気になっただけなのに。
聞けば聞くほど謎が深まるばかり。
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