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「…。ここは不味い血の匂いがすごい。
もう出る。じゃあな。もうあんな真似はするなよ。」
鎖を外し終えたシドはそう言ってベランダから出ていった。
なんだあの捨て台詞。すげームカつく。
飲んでもらいたいなんて思ったことないけど、あそこまで言われると余計ムカつく。
嵐の様だった。
ヴァンパイアハンターとしてヴァンパイアを取り逃した事はとても不能だが、多分戦えば負けは確定していた。
身の危険を感じた良い人生経験だったと思えば良い。
夢のような出来後にルイは呆気にとられながらも破られた結界を貼り直し、気絶するように眠った。
次の日に壮大な事が起こることも予想せずにーーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーー。
「ーーィ。ーールイ、起きろ」
誰かに呼ばれた声で起きるのはいつぶりだろう。
「んっ……。おはよ……シ…ド?」
なぜだかは分からないが目の前に、昨日も見たことがあるような血まみれのシドがルイのベットの上にいた。
「なっ……なんでお前がいんだよ!てか不法侵入すんなっ!その血まみれはなんだ!!!」
起きて早々情報量が多くてついていけない。
目の前には昨日拾って出ていった謎のヴァンパイア。
部屋は空き巣でも入られたのかと思うほど散乱し、血痕だらけで、シドも血まみれ。
「ふん。よくもあそこまで暴れていたのに爆睡できるな。」
そう言ってそっぽ向くシド。
どこから質問すればいいのか分からなくなっていた。
結界も問題なく貼られており、辺りを見ても敵らしい者はいない。
ただ、何故こんなにも部屋が散乱しているんだ。
「はぁ……。とりあえず風呂浴びてこい。」
血まみれのシドを風呂場に放り込み、平常心を保つ為にルイは朝食を作り出す。
学院には非常事態だし休む連絡入れておこう。
通報は……止めておくか。
ヴァンパイアに空き巣に入られましたって通報してもヴァンパイアハンターがでてくるだけだし、シドに勝てそうもない。
ただの公開処刑になりそうだ。
朝食のミネストローネを作りながら色々な事を考える。
なんで俺、殺す敵のヴァンパイアに飯作ってるんだろ。
いつ食われてもおかしくないのに……。
だからといって戦って勝てる相手でもないし。
うん、第一優先はいのちだいじに。
天災に会ってしまったと考えよう。
そして早めに出て行ってもらおう。
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