12人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あがってきたか。」
綺麗さっぱりと血だらけだった体を洗い流したシドが風呂場からでてきた。
俺の部屋着も見事に着こなしてくれる容姿っぷりにため息を漏らす。
これが水も滴るいい男ってやつなのかな。
「ちゃんと髪乾かしてから席につけよ」
「………チッ。」
パチッーー。
嫌そうな顔をしながらシドは指を鳴らした瞬間、髪が靡きだし乾いていく。
まじでなんでもありだな、このヴァンパイア。
魔法で髪まで乾かせるのか。
「とりあえず食えよ」
朝食を目の前に置いて、準備してやる。
貧血気味な顔は昨日から変わっていない。ヴァンパイアが人間の食事で栄養補給できるのかは分からないが物は試しである。
「………。」
目の前のミネストローネを凝視して一向に動こうとしない。
「………。」
「あー!もう食えって!」
無理やりミネストローネをシドの口の中に入れる。
俺はお前の親か!
「どう?」
「お前と同じような味だ。不味い。」
こいつ、、、、。
やっぱり部屋に入れるんじゃなかった。
今更後悔しても遅いが腹ただしい。
「たくっ、いいよ俺が食べるから!」
そういってルイが片付けようとすると皿ごとシドに取られ無言で食べ出した。
………こいつ。
「うまいか?」
「不味い」
「じゃあなんで食べてんだよ。うまいんだろ。」
「…食えたもんじゃない、不味いな。」
そういって完食したシドは俺を見ながら皿を出す。
まるでおかわりを持ってこいとでも言うように。
「とても不味い。」
マジで殴ってやりたくなる。
最初のコメントを投稿しよう!