滴る女

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ふーんというように私の全身をなめまわすように見てきたその人はまた続けた。 「好きなのね…」 何が? ん?とした表情に気づいたのかニヤリとしてんーっとね 耳うちをする。 「セックス」 私は冷めたように目を見開いた。 何を言っているんだこの人は。誰だよ。性別どっちだよ。 男だったらセクハラだぞこいつ。 「お会計お願いします。」 私は反応したところでどうせ酔っ払いの変な人に絡まれるだけだと思い店を出た。 後ろから追いかけられるような気配はなく、私はもう一軒行く気力も金もなかったので家にさっさと帰ることにした。 タクシーを呼んで乗り込んだ後急に誰かが私を押すようにして隣に入ってきた。その勢いとともに流れてきたその香水は甘くて目がくらくらするようだった。 「えっ!」  私がびっくりする間もなくその人はどこどこでっと運転手さんに伝えた。 さっきの人だった。 「何してるんですか。ほかのに乗ってくださいよ!」
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