すべての始まり

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すべての始まり

 星間ナビにも載っていないだたっぴろい宇宙の東に位置する東銀河のそのまた極東のはるか奥、小さな黄色い恒星がある。この恒星のまわりを、いくつもの星々がぐるぐると回っているが、その中でも一億五十万キロ離れた青緑色の惑星は、かなり文明が遅れていた。どれくらい遅れていたかというと、未だに体内に機械を入れるのかいなかで、議論が白熱するほどである。  またこの惑星に住む人間という知的生命体は、いつだって幸せになれないのだ。原因を紐解いてみれば、小さな紙きれの移動が根本にあるのだが、どんなに小さな紙きれを持っていたとしても、人間はちっとも幸せではなく、みんなが惨めな思いをしていたのだ。妬み嫉みを繰り返し、戦争で多くの人が死んだ。科学の進歩は環境破壊を招いて、多くの生命体が絶滅していった。それだけ多くの命を犠牲にしても運やら縁やら才能やらと言ったふわふわしたものに惑わされて誰一人幸せになれない。こんなことになるくらいならどうして陸に上がり、木の上の生活を捨て無用な進化をしたのかと口を揃えて言うものがいるが、進化とは不幸の始まりなのかもしれない。
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