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俺たちは無人島へと降り立った。
さっそく、そこら中から銃声が聞こえてくる。銃の種類も多く、聞こえてくる音も様々だ。
「部活のときの体育館みたいだよな」
「しょうもないことを言うな」
余裕を見せているのかは知らないが、杉原がゲームをやるという話は聞いたことがない。
「杉原、一応聞いておくが、一位になったことあるのか?」
「安心しろ。今日まで手加減してきた。初の一位はおまえと取ろうと思ってな」
「意味わかんねーよ」
まずは、あれこれレクチャーしながら進めようと思い、岩陰に身を潜めた。
まぁどうせ初心者だから、さっさと撃たれて終わるだろう──そう思っていたが、意外なことに杉原はゲームに慣れていた。
というよりは、肝が座っている。
奇襲をかけてきた敵を、見事に返り討ちにしてくれた。
俺はといえば、パニックで明後日の方向へ銃を乱射し続けていたのに。
正直、見直した。
さきほどまでの相棒とのギャップもあって、頬も緩んだ。
「杉原、おまえ接近戦得意なんだな」
「あぁ、臆病なミムラーラと違ってな」
「……よけいなお世話だ」
俺は先陣を切って走り出す杉原の背中を目で追いかけていた。
たしかに杉原は気が強く、接近線が得意だ。
わかっている。
一番自分と相性がいいのは、こういうタイプの人間だ。そして、それはゲームの中の話だけではない──。
「ん?」
足音がした。ガチャリと銃を構える音もする。
慌てて後方へ視点を切り替えると、敵がマシンガンを構えて走ってくる。
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