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あの日、俺のミスで試合は負けてしまった。しかし、先輩をはじめ、誰一人俺を責める者はいなかった。
それでも俺は試合後、頭を下げてから逃げるように体育館をあとにした。
時間を持て余し、虚しさを埋めるようになんとなくやってみた弟のゲーム。
最初はソロモードを選び、一人で戦場へ赴いていた。
しかし、結局はただ岩陰や草むらに隠れ、コソコソと敵の死角を狙い、いつも最後は蜂の巣状態に。
やがて自分の弱点を補ってくれる相手を探すべく、見ず知らずの誰かと二人で戦場へ赴くようになった。
そこで、ずっと探し続けていた。
相棒と呼べる誰かと出会えれば、きっと上手く行く。
もう少しだけやってみれば、次こそは、きっと。
あいつみたいに、頼もしい相棒に出会えるかもしれない──。
「見えてきたな! こっからが本番だ!」
杉原が声をあげて走り出すと、俺はスナイパーライフルを構える。
無人島に、俺たちの銃声が鳴り響く。
残りは、俺たちを含め、あと五組。
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