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パーツ屋を出たソウルの目の前にジュライがいた。ジャンク品にもたれかかったまま呆れた目でソウルを見ている。
「金、ちゃんと払えよ」
「そうだな」
「今、一ルビアも払ってなかったろ。いいのかよ、そんなほいほい眼使って」
小言を聞く素振りもなく、ソウルはジュライの素通りした。
真っ直ぐにディープの精霊力が感じられる方へと向かおうとする。
「ちょっと待てよ」
ジュライに肩を掴まれたソウルの顔が微かに歪んだ。
「お前・・・」
「人には手を出してねえよ!!! 言い訳する気もない。頼む、この通り」
ソウルは周囲をちらりと確認するとゴーグルを僅かにずらした。
ゴーグルの下から、緑の右目が覗く。
「停止」
一言そう呟くと直ぐにゴーグルを元に戻す。
緑の瞳を見た瞬間、ジュライは自分の思考が一瞬停止するのを感じていた。何かに頭をまさぐられるような違和感。
だが、それは目をあわせた一瞬の事だ。
ジュライは手を握ったり開いたりした後、パーツ屋に積まれていたタイヤに手を伸ばす。
タイヤを軽く押さえつけて、タイヤに変化が無いのを見ると満足そうに笑った。
「ありがとな、ソウル」
「どうも」
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