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探偵との出会い
私の名前は不知火(しらぬい) 火凛(かりん)。花山高校の1年生だ。部活などは入っておらず、学校の図書館にずっと入り浸っている。いわゆる本の虫ってやつだ。
学校に登校する道のりも考えることはあの夢のことだった。
「あの夢は一体何なの…」
高校にあがって初めての誕生日を迎えたその日から、その夢を見るようになった。勿論、私はその夢の話を両親にした。仲の良い友達にも話した。でも、皆が同じ事を言う。“ただの夢だよ”と。
そうかもしれない。そうなのかもしれないが、私にはただの夢と言うことで話を片付けてはいかない気がした。そんなことを悩んでいると
「そこの君、ちょっといいかな。」
いきなり、凛とした低めの声でそう呼び止められる。振り返ると、そこには黒のコートを身にまとい、黒いショートヘアーの女性が立っていた。その女性の目は美しく赤色に光っており、私は目を奪われる。
「な、何でしょうか?」
「可愛い女の子が目の前を通り過ぎていったからね、遂声を掛けてしまったよ。いわゆる“ナンパ”というやつだよ。」
そう言い女性は私に向かってウィンクをする。その仕草は女の私でもときめいてしまう程だった。
「私これから学校なんで、ごめんなさい。」
女性から目をそらしながらそう言う。そのまま学校と向かおうとすると
「最近変な夢を見るんじゃないかい?」
女性がそう聞いてきたあ。えっ、どうしてそれを…。驚いて振り返る私を気にも留めず
「学校へ行くところを邪魔して悪かったね。これ、私の電話番号。それじゃ」
そう言い私に名刺を渡し女性はさっさと行ってしまった。その名刺には電話番号と
“探偵 赤羽(あかば) 美鈴(みれい)”
と書かれてあった
その後、私は学校の授業が身に入らなかった。朝出会った女性の言葉、その言葉で頭の中でいっぱいだった。何故、彼女は私の夢のことを知っていたのだろうか。ずっとそのことを考えていて、先生に質問されても反応すらせず、何回か叱られてしまった。そんなことをしながらも時は過ぎていき、今日の学校生活が終わる。
私は帰り道をいつもより急いで帰った。家に着くと、すぐに制服を脱ぎ捨て、私服に着替える。それから朝出会った女性の電話番号に電話をかける。怪しさ満載だったが夢の正体に近づけるかもしれないと思うと電話をかけずにはいられなかった
プルルルル プルルルル
何回かの呼び出し音の後に
『はい、もしもし。』
「あ、あの、私、不知火 火凛というものなんですが。こちら、赤羽 美鈴さんの携帯で間違いないでしょうか?」
『ああ、もしかして君、朝出会った女の子かい?』
「はい、そうです。実はお話があって…」
『もしかして私と付き合うつもりになってくれたのかい?嬉しいなぁ、待ち合わせ場所どこにする?車で迎えに行くよ』
「えっ、ち、違います!!!今朝、私の夢について聞いてきたじゃないですか。それについて聞きたいことがあるんです‼」
何を言ってるんだ、この人は!
『あぁ、そっちの方か、残念だなぁ。で、何が聞きたいんだい?』
残念がるんじゃない!!
私は気を取り直して
「どうして私が変な夢を見てること分かったんですか?」
『う~ん、何て言ったらいいのかな。電話じゃ詳しい話出来ないから、駅の近くにあるカフェに来れない?ほら、新しくできたやつ。』
結局会うんじゃないか。
「分かりました、直ぐに向かいます。」
そう言って私は電話を切り、カフェへと向かう。
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