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 翌日の夜、いつものように自宅の自分の部屋でギターを抱えて、今度のライブで披露しようとしてる新曲のアレンジをしていた。 「貴! 電話!」  ドアをガンガン叩いて、お袋が喚く。そんなデカい声出さなくても聞こえるって。 「誰?」 「山際さん」 「あいよ」  先輩か。昨日鳥坂さんと呑みに行くって言ってたもんな。多分アレだろ、経歴と写真でがっかりしてたって話だろ。期待なんか全然してないし、報告なくてもいいんだけど、律儀だ。  部屋にある子機のボタンを押して、耳に当てる。 「おつかれっす」 「おう、志見」 「鳥坂さん、何つってました」  一応ね、反応は聞いておこう。テープまでは聴いてもらってないだろうけど。 「鳥坂さんは、ざっと見て持って帰っただけだわ」 「そんじゃ、コメントなしです?」 「若いなー! ってよ」 「そりゃまあ」  ピチピチのハタチですんでね、俺も。あんまりこうピチピチってタイプの可愛い顔じゃないけど。 「今日、斯波さんに渡ってるはずだから、何かありゃお前に電話が来るはずだ」
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