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受話器から聞こえる音に、プツプツと異音が交じる。キャッチホン入って来た。
「あ、キャッチ入りました」
「おう、じゃまた何かありゃ連絡してくれ」
「はーい、おつでーす」
「おつかれ」
先輩の声を確認してからボタンを押すと、後から入って来た通話に切り替わる。
「はい、志見です」
「夜分恐れ入ります。ハウリングロックの玉田と申しますが、貴さんはいらっしゃいますでしょうか」
ハウリングロック? 知らないな。ロックってつくからには、音楽関係だとは思うけど。何にしろ、俺に用があるらしい。
「はい、貴は僕ですが」
「そうでしたか。お時間よろしいですか?」
「大丈夫です。どうぞ」
セールスか? 何の? 知ってるスタジオとかライブハウスでもないし……。
「グリフィンのマネージャーをしております、玉田と申します」
「あ! そうでしたか」
てことは、グリフィンの事務所からの連絡ってことだ。
「鳥坂から、デモテープと資料を受け取らせて頂き、メンバーで検討させて頂きました」
早いな! 昨日の今日だぞ。切羽詰まってんなぁ、グリフィン。
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